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プロ弁護士が語る!退職代行で失敗しないために必要な全知識

「退職代行って失敗しないの?」「退職代行で失敗するってどういうことなんだろう?」と思っていませんか?

退職代行の失敗理由はいろいろと考えられますが、法的には「退職ができないということはあり得ません。」

このページでは、退職代行の実務に携わってきた弁護士が、想定可能な退職代行の失敗をパターン別に全て網羅します。

このページを読めば、退職代行の依頼を行う前に、退職代行の依頼を行った後の失敗パターンを知ることができます。

退職代行サービスについての依頼を検討されている方は こちらのページ を参照ください。

1. 退職代行の失敗パターンについて

「退職を禁止する法律」は存在しないため、法的に退職ができないということは一切あり得ません

しかしながら、退職した後やあるいは退職に到るまでのプロセスに問題が発生する可能性はあります。

本章では、そういった退職代行に付随する問題点・失敗例についてパターン別に記載します。

1-1. 退職後に会社から損害賠償請求を受ける

一番多い相談はこのパターンです。

多くの方にとって、訴訟は馴染みのないものですので、心配される方が非常に多いというのが現状です。

しかし、弁護士として普段訴訟業務を行っていると、いかに訴訟の手続きが面倒か、というのが身に染みてわかっています。その経験を踏まえると、退職後に会社が損害賠償請求を行い、裁判・訴訟を行うという可能性はほとんどないのが実状です。

【参考】

退職代行以外のケースでは、むしろ多くの方が「泣き寝入り」(実際には本当は損害賠償請求できるはずなのに、証拠がないなど様々な理由から金銭の回収ができない)の状況になることが多いように見受けられます。

「泣き寝入りですか?」というのは多くの弁護士が質問を受けるパターンと思いますが、現在の日本の司法制度では弁護士をつけなくても訴訟はできますので、本人訴訟を行うか、成功報酬は頂けないことを分かりつつ、弁護士が作業を行うかのいずれかを選択することになると思われます。

もちろん、ケースバイケースではありますが、退職代行のほとんどのケースでは、実際に退職後に会社から損害賠償請求を受ける、ということはないと思います。

余談ですが、後々お客様が損害賠償請求を受けないように、弁護士が退職代行を受任した場合には、和解契約書を作成することがあります。

在職中に既に労働者側に非のある何らかのトラブルが発生していたケースなどでは、損害賠償請求を受けてしまう可能性は否定できませんが、通常は労働者の側から残業代を請求することがむしろ多いように見受けられます。

1-2. 退職後に辞めた会社から色々な嫌がらせをされる

損害賠償請求を心配されない方でも、「退職後に、辞めた会社から嫌がらせを受けるのではないか?」と心配される方は多いように見受けられます。

嫌がらせの内容を具体化すると、典型的には以下のとおりです。

  • 私物を返さない
  • 離職票を送らない
  • 次の会社に悪評を流す

以下、各々のパターン別に解説します。

私物を返さない

あってはならないことですが、「私物が返ってこないのではないか」と心配される方が多いように見受けられます。

対策としては、会社から少しずつ私物を持ち帰ることなどが考えられます。

また、最終出社予定日には、会社に私物は何も置かないのが望ましいと思われます。

反対に、保険証など会社に返すべき物品に関しては、デスクの上に置いておくと退社後の郵送の手間が省けるかもしれませんが、病院に行った時には保険証がないと、まずは一度全額の支払いを求められることが一般的です。

ですので、会社に置いていくべき書類・物品については、慎重に検討を行うことが望ましいと思います。

離職票を送らない

離職票を送らないということも、あってはならないことですが、よく耳にするテーマになります。離職票を会社側が送付しないことは違法ですが、嫌がらせでそのようなことを行うこともあるようです。

この場合、期限を区切った上で、その期限までに対応がなければハローワークに離職票を交付してもらうという対応をとることになりますが、離職票の件に関して変に揉めると、ハローワークに求人を出すことができなくなりますので、そこまでのケースには至らないことが多いように見受けられます。

次の会社に悪評を流す

次の転職先の会社に「自分の悪評を流されたらどうしよう・・・」と心配する方も見受けられます。しかしながら、このような心配は、いずれその会社を退職することを考えると、避けることはできないものではないでしょうか。

すなわち、退職代行サービスを利用するにしろしないにしろ、避けられないものなのです

むしろ、例えば、親になりすましてもらうといった形の退職代行サービスを利用すると、それが後々前職の会社にバレてしまうことでその会社に弱みを握られてしまうことも考えられます。ですので、退職代行を依頼する場合は、しっかりした形で行うことが望ましいと思います。

1-3. 退職代行の連絡が失敗する

弁護士が弁護士名にて本人の代理人として退職の意思表示を行う場合、失敗というのはあまり考えられません。

「依頼を受けながらその日のうちに会社宛に連絡しない(連絡したとしても退職の意思を明確に伝えない)というのが典型的失敗例だと思います。しかし、弁護士が受任した場合、通常は退職の意思表示を行って欲しいという依頼を受けた日(指定された日)に電話だけで会社に連絡を行うというパターンは少ないように思われます。

具体的には、何らかの形(書面等)で退職の意思表示を会社宛に伝える(FAXや内容証明郵便が典型です。)ことが多いと思います。

【ポイント】

書面以外の方法では、後々弁護士が本当に作業をしたかどうかをお客様に示すことが難しいため、どちらかというと多くの弁護士は書面での連絡を好む傾向にあると思います。ケースバイケースではありますが、少なくとも退職の意思表示という重要な連絡を電話連絡のみにて行う弁護士は少ないのではないでしょうか。

退職代行業者によっては、電話代行のサービスとの1つとして電話連絡のみの対応を行っているところもあるようです(全てが全て、それが間違っているとも言えません。)。

多くの弁護士は電話だけだと、後々、言った言わないの話になることを防ぐため、細かな部分では電話を用いつつ、重要な内容は書面にて連絡を行うことが多いと思われます。

2. 最後に

いかがでしたでしょうか。

退職代行の失敗についてパターン別に解説を行ってきました。

大きく分けて、退職代行の失敗パターンは、

  1. 退職後に会社から損害賠償請求を受ける
  2. 退職後に辞めた会社から色々な嫌がらせをされる
  3. 退職代行の連絡が失敗する

に分類されるかと思います。

この記事が、退職代行を検討している方にとって少しでも参考になれば幸いです。

井上 裕貴
弁護士
井上 裕貴

この記事の執筆者

東京都出身。複数の法律事務所勤務を経て独立。NHKニュースウォッチ9、テレビ朝日報道ステーション等のテレビ局取材多数。
日経新聞、読売新聞、朝日新聞、ダイヤモンドZAi等の新聞雑誌のコメント掲載実績も多数。
弁護士会や社会保険労務士会等での講演も多数引き受ける。