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プロ弁護士が教える!ファクタリング判例の事案の概要と全ポイント

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「ファクタリングについて判例はどうなっているんだろう?」「ファクタリングは貸金と認めた判例はないの?」と思っていませんか?

結論から言うと、ファクタリングに利息制限法を適用した判例があります。また、刑事裁判ではファクタリング業を営んでいた経営者らに貸金業法違反で有罪判決が下された判例もあります。

このページでは数々のファクタリング案件を処理してきた弁護士が、これらのファクタリングの判例についてわかりやすく解説します。このページを読めば、どのようなファクタリングが貸金と認められるかが簡単にわかります。

ファクタリングの判例には民事の判例と刑事の判例があります。このページではまず、ファクタリングの民事の判例について解説した後、ファクタリングの刑事の判例についても解説します。

1. ファクタリングに利息制限法を適用した判例

平成29年3月3日のファクタリング裁判(判例タイムズ1439号179頁)では、ファクタリングに利息制限法を適用しています。

1-1. 事案の概要

詳細は、後述の判例の全文を参照していただければと思います。

事案の概要は、要するに、概ね毎月60万円を借り、翌月に100万円を返済する等の金銭授受と返済を何度も原告(借主)と被告(ファクタリング会社)を行ったというものです。

結論として、この判例は、本件取引は、金銭消費貸借契約に準じるものというべきであるから、利息制限法1条の類推適用を受けるものと解するのが相当であるとしています。

1-2. 平成29年3月3日のファクタリング判例のポイント

この判例では、重要なポイントは3点あります。

1-2-1. ファクタリングの高額手数料の「正当化」

この判例は「金銭消費貸借契約であれば,貸主は,利息制限法所定の制限利率の限度でしか利息を収受することができず,債権の売買契約ということでこれを上回る利益を上げることが正当化されるとすれば,買主が,売買対象の債権につきある程度回収のリスクを負うなど,相応の理由があってしかるべきである」と指摘します

つまり、金銭消費貸借契約の場合には、利息制限法所定の最大でも年利20%と規制があるにもかかわらず、ファクタリングの場合にこれを上回る利益をファクタリング業者が得ることを「正当化」するためには、買主(ファクタリング業者)が債権譲渡を受ける債権につき回収リスクを負うなどの相応の理由があってしかるべきである、ということです。

ですので、取引先(売掛先)が上場会社など、ファクタリング業者が回収のリスクを負っていない場合には高額のファクタリング手数料の「正当化」は難しいのではないでしょうか。本件でも判例は「被告(ファクタリング会社)は,債権回収のリスクをほとんど負っていない」と指摘します。

1-2-2. 売主が債権売買代金の一部しか代金を受け取っていないこと

このポイントはやや特殊ですが、本件の判例の事案の前半では、例えば債権の売買代金を100万円としたにもかかわらず、売買時には債権の代金として70万円しか支払われず、残りの30万円はファクタリング会社が債権を回収した際にファクタリング会社から支払われるという内容のものがあったようです。

このような場合には、事実上、ファクタリング会社が債権売買代金30万円の支払を先延ばしにしているだけのため、全くこの点について、ファクタリング会社はリスクを負っていないということが可能と思います。

1-2-3. 債権のうち一定の金額分のみをあえて売買の対象とするなど,債権の額面とは無関係に金員の授受がなされていたこと

この判例の事案ではファクタリング取引の後半では、債権が100万円ありながら70万円分しか買わず、残り30万円部分については焦げ付いてもファクタリング業者に実害はないという契約実態だったようです。

つまり、債権を全額譲渡するのではなく、その一部のみを対象としている点で、ファクタリング会社は債権の回収のリスクが軽くなっているのです。

1-2-4. 小括

1点目は高額なファクタリング手数料を正当化することができなければ貸金と言われてもやむを得ない、ということです。

2点目は、ファクタリング会社が売買代金の支払を一部留保しているということは、高額なファクタリング手数料を正当化しないことを基礎づける一事情になります。

3点目についても債権を全額譲渡するのではなく、その一部のみを対象としている点で、ファクタリング会社は債権の回収のリスクが軽くなっているため、高額なファクタリング手数料を正当化しないことを基礎づける一事情になります。

平成29年3月3日判決(平成26年(ワ)第11716号・判例タイムズ1439号179頁参照)

当事者間のファクタリング取引が金銭消費貸借及びその返済に準じるものとされた事例

主    文

1 被告は,原告に対し,467万4182円及びこれに対する平成26年11月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

2 原告のその余の請求を棄却する。

3 被告の反訴請求を棄却する。

4 訴訟費用は,本訴反訴を通じてこれを10分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。

5 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

事実及び理由

第1 請求

1 本訴

被告は,原告に対し,491万6209円及びこれに対する平成26年10月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

2 反訴

原告は,被告に対し,313万円及びこれに対する平成27年1月1日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要

本件のうち本訴は,原告が,被告に対してした別紙債権目録記載の集合債権(債権発生時期①及び同②のもの。以下「本件債権」という。)の譲渡が実質は譲渡担保であり,原被告間の取引は,金銭消費貸借契約に基づくものであったところ,原被告間の取引により過払金が生じているとして,被告に対し,不当利得の返還を求めるものである。その附帯請求は,取引終了時からの民法所定の年5分の割合による法定利息の請求である。一方,反訴は,被告が,本件債権の譲渡は売買によるものであると主張して,原告に対し,被告に本件債権を譲渡しながら代理受領権限に基づき取り立てた金員の引渡しを求めたものである。その附帯請求は,約定の引渡日の翌日からの商事法定利率年6分による遅延損害金の請求である。

1 前提事実

以下の事実は,当事者間に争いがないか,別紙取引一覧表に掲記の書証及び弁論の全趣旨により認められる。

(1) 原告は,運送業等を目的とする会社である。被告は,ファクタリング業等を目的とする会社である。被告は,後記取引の際,貸金業の登録を受けていなかった。

(2) 原告と被告とは,別紙取引一覧表のとおり,金銭の授受を伴う取引(以下「本件取引」という。)を行った。金銭授受の名目は,被告が原告の有する債権を買い取る売買代金及び原告による同債権の買戻代金であった。

(3) 原告は,被告との間で,本件取引開始に際して,本件債権(ただし,債権発生時期①のもの)を対象として債権譲渡をする旨合意し,債権譲渡登記手続をした。また,原告は,被告との間で,本件取引の途中で,本件債権(ただし,債権発生時期②のもの。以下「本件債権②」という。)を対象として債権譲渡をする旨合意し,そのうち,債権の種類を運送料債権とするものについて債権譲渡登記手続をした。

(4) 原告は,平成26年12月31日までに,本件債権②のうち,平成26年11月1日から同年12月31日までの間に弁済期が到来する債権を,その各債務者から取り立てて,合計313万円を回収した。

2 争点

(1) 本件取引の法的性質(本訴・反訴共通)

【原告の主張】

金員の貸付けとは,手形の貸付,売渡担保その他これらに類する方法によってする金銭の交付又は当該方法によってする金銭の授受を含むと解されるところ,本件取引は,これに該当するから,金銭消費貸借契約に基づくものといえる。そして,原被告間でされた本件債権の譲渡は,上記による原告の債務を担保する目的でされたものに過ぎない。

【被告の主張】

本件取引は,支払明細書(甲3(枝番を含む),乙18)や合意書(甲4,乙1ないし15)の文言どおり,本件債権の売買及びその買戻しである。

(2) 本件取引が公序良俗に違反するかどうか

(本訴・反訴共通)。

【原告の主張】

本件取引は,実質的には金銭消費貸借契約に基づくものであるところ,被告は,貸金業の登録をしていない。また,平成26年10月31日の250万円の貸付けを例にとると,同年11月30日に313万円を返済する約定であり,被告が利息制限法をはるかに超える年利300%超の高利を収受するものであった。したがって,本件取引は,暴利行為に該当し,公序良俗に反するものであるから,無効である。

【被告の主張】

争う。

(3) 被告の不当利得額(本訴関係)

【原告の主張】

本件取引は公序良俗に反し無効であるところ,被告は,原告の窮状に乗じて貸付けを行っていたもので,原告には何らの不法性がない。そこで,被告から原告に対する貸付けは,それ自体不法原因給付であり,被告は,原告に対し,本来,その返還を求めることができなかった。しかるに,被告は,本件取引において,原告から合計3791万円を取り立てている。そこで,被告は,原告に対し,同額の不当利得返還義務を負う。

また,被告は,貸金業者であり,本件取引が公序良俗違反であることを認識していたから,悪意の受益者である。ただし,本訴においては,原告が利息制限法所定の制限利率を超えた利息を支払ったことによる過払金が生じたこと及び被告が悪意の受益者であることから過払金に対する法定利息が生じたことを前提に,別紙取引一覧表の「原告主張を前提に利息制限法所定の利率で一連計算した場合の残元金又は過払金」による過払金及び法定利息の返還のみを求める。

【被告の主張】

被告は貸金業者でなく,その余は否認ないし争う。

(4) 原告の受取物返還義務(反訴関係)

【被告の主張】

原告は,被告に本件債権②のうち,平成26年11月1日から同年12月31日までの間に,弁済期が到来する債権であって,313万円という金額で特定される債権を売り渡したものの,被告から代理受領権限を授与され,取り立てた金員を直ちに被告に引き渡す旨合意していた。そして,原告は,同年12月31日までに,各債務者から313万円を取り立てた。原告は,同額を同日に被告に引き渡す義務を負っていたところ,同日が経過した。

【原告の主張】

取り立てた金額は認め,合意内容は否認し,その余は争う。原告は,被告に対し,平成26年12月1日に3万円,同月5日に30万円を支払った。

第3 当裁判所の判断

1 争点(1)について-本件取引の法的性質

(1) 前提事実の外,証拠(取引一覧表掲記の書証,原告代表者,被告代表者)及び弁論の全趣旨

によれば,以下の事実が認められる。

ア 本件取引は,基本的な債権譲渡契約(甲2の1・2)が締結され,それに基づく債権譲渡及びその買戻しの形式に依っていたものの,対象となる債権は,本件債権のみであり,原告と被告とは,これをほぼ毎月のように反復して売買及び買戻しすることにより,金員を授受していた。また,上記債権譲渡契約に基づいて,債権譲渡登記手続が経由されるとともに,原告は,本件債権についての譲渡通知を作成して被告に預託していたものの,原告は,被告から当該債権についての代理受領権限を授与され,取引先である各債務者か

ら従前どおり支払を受け,被告への支払その他の資金繰りに当てていた。

イ 本件取引において,債権の売買代金は決められるものの,平成26年6月までは,被告が原告に実際に支払う売買代金額はその一部だけで,残額は,被告が債権全額の弁済を受けることを条件として支払われることになっており,代金全額を支払うことはほぼ想定されておらず,本件取引の途中からは,譲渡された債権のうち破産等で回収不能となったものがあれば,さらに代金全額から減額することもできるとされた。同年7月以降は,そもそも弁済期で特定した本件債権の一部(一定の金額分)だけが譲渡の対象とされるようになった。

ウ また,支払うとされた売買代金額からさらに,別紙取引一覧表「支払明細書(甲3の1〜16,乙18)における費目」のとおり,調査料等が差し引かれることもあった。

エ そして,原告が受け取る売買代金額よりも,原告が被告に支払うべき買戻代金額の方が高額であり,その差額は,受け取った売買代金額を元本として利息制限法所定の制限率により算定された利息額を上回るものであった。

(2) そこで検討するに,金銭消費貸借契約であれば,貸主は,利息制限法所定の制限利率の限度でしか利息を収受することができず,債権の売買契約ということでこれを上回る利益を上げることが正当化されるとすれば,買主が,売買対象の債権につきある程度回収のリスクを負うなど,相応の理由があってしかるべきであるが,上記認定事実によれば,被告は,債権回収のリスクをほとんど負っていないまた,被告が上げた利益は,専ら原告との間で繰り返し授受された金員の差額によるものであり,債権を売買の対象としたとはいえ,その代金を一部しか支払わないで済むとか,債権のうち一定の金額分のみをあえて売買の対象とするなど,債権の額面とは無関係に金員の授受がなされていた加えて,原告が買戻しを行わなかった場合には,譲渡債権の全額が回収できたときに初めて債権譲渡代金全額の支払を受けるとか,債権の一定金額分のみの譲渡のために各債務者に債権譲渡通知が発送されてしまうといった不利益を受けるから,本件取引において原告は,買戻しを行わざるを得ない立場にあったものといえる。そうすると,本件取引では,金銭消費貸借契約の要素たる返還合意があったものと同視することができる。

被告は,本件取引は,原告の信用力でなく,あくまで債権の属性に着眼して代金額を設定しているから,金銭消費貸借契約でなく,債権の売買契約としての実質を有していたと主張する。しかし,原告に当該債権の代理受領権限があった本件取引においては,前記1(1)イのような取引の実態も踏まえると,債権の回収リスクは,原告の信用リスクと同じことであるから,被告の上記主張は,これまでの裁判所の判断を左右しない。

(3) 以上によれば,本件取引は,金銭消費貸借契約に準じるものというべきであるから,利息制限法1条の類推適用を受けるものと解するのが相当である。したがって,被告の原告に対する売買代金等の支払を貸付けと捉え,原告の被告に対する買戻代金の支払を貸付けに対する弁済と捉えて,同条所定の制限利率を超えて支払われた部分を元本に充当して計算した結果,過払金が発生した場合には,不当利得としてその返還を求めることができるというべきである。

2 争点(2)について−本件取引が公序良俗に反するか

証拠(甲24,原告代表者,被告代表者)及び弁論の全趣旨によれば,原告代表者は,運送業を営む会社の代表者であるが,平成25年9月初旬頃,資金繰りに窮し,ファクタリングという金策手段があると聞いて,被告の開設したインターネット上のホームページを見た上,被告本店で説明を受けたところ,60万円を受領する代わり,所定の期限には100万円を支払わなければならないと知って一旦は断ったが,再考した結果,被告との取引を開始したこと,本件取引により,最終回に原告が被告から受領した金員を除いても,被告から受け取ったのが3049万円余であるのに対し,被告に支払ったのは3791万円であることが

認められる。これらによれば,被告代表者が,原告代表者の軽率さや取引についての経験の無さに乗じたとも認められないし,利息が著しく高利であったとも認められないから,利息制限法1条所定の制限利率の範囲内の部分を含め,本件取引全部が暴利行為であったとまではいえず,無効とも解されない。なお,原告は,被告が貸金業の登録を受けていなかったことも指摘する。確かに,本件取引は,金銭消費貸借契約に準じて考えられるべきものではあるが,貸金業の登録の有無が,原告との関係で直ちに何らかの意味があったとまではいえない。

3 争点(3)について−被告の不当利得額

(1) 原告は,被告が調査料,登記費用,振込手数料,交通費の名目で天引きしたものをすべて利息とみなして,不当利得額を計算している。しかし,登記費用は,契約締結の費用と解されるところ,利息制限法3条ただし書は,契約締結のための費用は,利息とみなさないと規定する。そして,本件で債権譲渡登記手続がされたことは争いがないし,集合債権譲渡契約書(甲2の1・2)でも登記費用は原告の負担とされている。そこで,登記費用を直ちに利息とみなすことは相当でない。次に,原告は,利得額の計算において一連計算をしているが,この点は,本件取引が上記契約書(甲2の1・2)による基本契約に基づいて継続的に行われており,過払金が発生した場合に,これを後に発生する借入金債務に充当するとの合意があったと認められることから,是認できる。

(2) また,被告は,ファクタリングを業とする者であり,本件取引が債権の売買であるとしても,金銭消費貸借契約に準じたものといえ,また,手形割引にも類似するところ,手形割引であれば貸金業法の適用を受けると解される。加えて,証拠(被告代表者)及び弁論の全趣旨によれば,被告は,各種コンサルティング業も会社の目的としていること,被告代表者は,数年間,貸金業者の従業員として稼働していたことが認められる。これらによれば,被告は,本件取引により不当利得が生じたことについて,悪意であったというべきである。そこで,過払金について,その発生時から法定利息が生じることとなる。

(3) これらによって計算すると,被告の不当利得額は,別紙取引一覧表の「認容額」のとおりとなる。被告は,原告に対し,その返還義務を負う。

なお,原告は,過払金に対する平成26年10月31日からの法定利息を請求するが,同日までの法定利息については,同日に被告が原告に支払った金員が充当されているので,原告が請求できるのは,その翌日からの法定利息と解される。

4 争点(4)について−原告の受取物返還義務

これまでに検討したところによれば,本件債権の譲渡は,本件取引における原告の債務を担保するものと解されるところ,本件取引が終了し,原告には残債務がないので,もはや効力を有しないといえるから,被告の主張は,前提を欠くことになる。

5 まとめ

以上によれば,被告は,原告に対し,上記の限度で,過払金に法定利息を付して支払うべきである。一方,原告は,被告に対し,受取物返還義務を負わないというべきである。

よって,本訴請求は,主文の限度で理由があり,反訴請求には理由がない。

2. ファクタリング業者に貸金業法が適用された刑事事件

ファクタリング業者に貸金業法が適用された結果、貸金業登録を行っていなかったファクタリング業者の経営者が逮捕され、有罪判決を受けています。

府警によると、ファクタリングを偽装したヤミ金融の摘発は初めてといい、これまでに大阪地裁は判決期日を迎えた中心メンバーらを有罪とした。

引用:ファクタリング、ヤミ金が装う 違法貸し付け、大阪などで摘発 法規制求める声

刑事裁判と民事裁判は異なるものですが、刑事裁判でも貸金業法がファクタリング業に適用されている場合があるのです。

3. まとめ

いかがでしたか?

民事裁判ではファクタリングに利息制限法を適用した判例が存在し、刑事裁判ではファクタリングに貸金業法を適用した判例があるのです。

ですので、裁判所としては、ファクタリングを「貸金」と考えることが十分あるのです。

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